第7回 甲状腺の腫れについて(前編)
甲状腺は身体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌する内分泌組織です。甲状腺の病気にはこのホルモンに異常をきたす病気とそうでない病気があります。今回はホルモン異常を伴う甲状腺の腫れについてお話します。
血液中の甲状腺ホルモンが増加する状態を甲状腺機能亢進症と言います。新陳代謝が亢進し、暑がりになり、汗が多く出て、体がだるく疲れやすく、動悸がするといった症状がでてきます。甲状腺が腫れて、これらの症状がでる病気で一番多いものはバセドウ病です。バセドウ病では眼球突出と言い眼が突出する症状もでる事があります。バセドウ病は自己免疫疾患といって自分の組織を異物とみなして免疫系が攻撃する病気で、甲状腺の細胞の表面にあるTSHレセプターに対する自己抗体が産生されます。この自己抗体が甲状腺のTSHレセプターにくっつくと、常に甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンを多量に作り続け、甲状腺は大きくなります。甲状腺の表面は平滑で比較的柔らかく全体的に大きく触れます。治療法は甲状腺ホルモンを低下させる抗甲状腺薬の内服、放射線治療、外科的治療等がありその人の状態などにより選択されます。バセドウ病の他にホルモンが増加する病気にはホルモンを分泌する腫瘍もあり、良性、悪性どちらのこともあります。これは外科的治療が主となります。
血液中の甲状腺ホルモンが減少する状態を甲状腺機能低下症と言います。新陳代謝が低下し、冷え症になって疲れやすく、皮膚の乾燥、無気力、むくみなどの症状が出てきます。甲状腺が腫れて、これらの症状がでる病気で一番多いものは橋本病(慢性甲状腺炎)です。これもバセドウ病と同じく自己免疫疾患で、甲状腺組織に対する自己抗体が産生され、この抗体が甲状腺を破壊して、甲状腺の機能が徐々に低下していきます。甲状腺は硬く結節状に触れる場合が多いです。血液中の甲状腺ホルモンは正常で、甲状腺の腫れの少ない場合は、特に治療の必要はありません。ホルモンが低下している場合は甲状腺ホルモンを内服して補充し、甲状腺の腫れが大きく周囲組織を圧迫している場合などは外科的治療も行います。
今回は甲状腺ホルモンに異常を起こす甲状腺の腫れについてお話しましたが、次回はホルモンに異常を起こさない甲状腺の腫れ、主に腫瘍性疾患についてお話します。今回の写真はチューリップについた水滴を撮ってみました。
タイトル一覧
- 第17回 良性発作性頭位眩暈症
- 第16回 メニエール病
- 第15回 めまいについて
- 第14回 睡眠時無呼吸症候群の治療
- 第13回 睡眠時無呼吸症候群の診断
- 第12回 睡眠時無呼吸症候群について
- 第11回 声がれについて
- 第10回 インフルエンザについて
- 第9回 頭頸部癌による頸部リンパ節転移
- 第8回 甲状腺の腫れについて(後編)
- 第7回 甲状腺の腫れについて(前編)
- 第6回 首の腫れについて
- 第5回 止まらない咳
- 第4回 シラカバ花粉症
- 第3回 アレルギーとは(後編)
- 第2回 アレルギーとは
- 第1回 耳鼻咽喉科とはこんな診療科です
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