第6回 首の腫れについて
首、正式には頸部といいますが、頸部にはリンパ組織や神経、血管など色々な組織が存在します。それらが何らかの原因で腫れると、首は服などで隠れていませんので、自分で気付いたり、周りの人に指摘されたりして発見されます。喉の痛みなどと供に首にコロコロしたものが触れる一過性のリンパ節炎は皆さん経験したことがあると思います。このように他の部位に炎症性疾患がある場合、腫れ自体に痛みを伴う場合の多くは炎症性のものが多いですが、痛みが無く、硬く触る場合などは悪性疾患が隠れている場合があります。今回から数回にわたって、これらの注意が必要な首が腫れる病気についてお話させていただきます。
頸部には多くの組織がありますが、腫れている場所によって何が腫れているか推測できます。耳の下(耳下部)や前(耳前部)が腫れている場合は耳下腺、あごの下(顎下部)が腫れている場合は顎下腺が考えられます。耳下腺、顎下腺は唾液腺といって唾(唾液)を作る組織です。これらが腫れる原因はおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)などの炎症性疾患から、唾石症といって唾液腺内や唾液の流れる管に唾石という石ができる病気や腫瘍性の病気もあります。自己免疫疾患でも腫れる場合があります。首の下方で前面が腫れている場合は甲状腺が考えられます。甲状腺が腫れる原因にはバセドウ病や橋本病などの甲状腺ホルモンに異常をきたす病気をはじめ、痛みを伴う場合は炎症性疾患、柔らかく触れる場合はのう胞性(袋状になり液体がたまっている状態)、硬くゴツゴツ触れる場合は腫瘍性疾患の可能性があります。首の側面が腫れる場合はリンパ節が考えられます。先ほどお話したように痛みを伴う場合の多くは炎症性のリンパ節腫脹ですが、痛みが無く多発性に触れる場合は頭頸部(口腔、咽頭、喉頭など)にがんなどの悪性疾患が存在し、それの転移部位の可能性があります。硬くてリンパ節が数個くっついている様(癒合)に触れる場合は要注意です。また、悪性リンパ腫などリンパ節自体の病気もあります。
首が腫れてなにやらごろごろ触れるものがあるが痛くないので放っておいた。知り合いから首が腫れているよと言われていたのに、あまり気にしなかった。首の腫れには悪性疾患が隠れている場合があります。後悔しないためにも、専門医の診察をお薦めします。次回は甲状腺の腫れについて詳しくお話しします。今回の写真も庭に咲いたチューリップです。黒っぽいチューリップで珍しいので撮ってみました。
タイトル一覧
- 第17回 良性発作性頭位眩暈症
- 第16回 メニエール病
- 第15回 めまいについて
- 第14回 睡眠時無呼吸症候群の治療
- 第13回 睡眠時無呼吸症候群の診断
- 第12回 睡眠時無呼吸症候群について
- 第11回 声がれについて
- 第10回 インフルエンザについて
- 第9回 頭頸部癌による頸部リンパ節転移
- 第8回 甲状腺の腫れについて(後編)
- 第7回 甲状腺の腫れについて(前編)
- 第6回 首の腫れについて
- 第5回 止まらない咳
- 第4回 シラカバ花粉症
- 第3回 アレルギーとは(後編)
- 第2回 アレルギーとは
- 第1回 耳鼻咽喉科とはこんな診療科です
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