クリニック通信

第17回 良性発作性頭位眩暈症

私とクッキー.JPG 

 朝に目が覚め体を起こした瞬間におこる回転性のめまいや床に落ちた物を取ろうと頭を下げた時にくらっするめまいを経験したことがありませんか。これらのめまいは良性発作性頭位眩暈症の可能性があります。今回は体を動かした時や特定の体位をとった時にめまいがおこる良性発作性頭位眩暈症についてお話します。

 良性発作性頭位眩暈症は上記の他に寝返りを打ったり、棚の上の物を取ろうとしたりと特定の位置に頭を動かした時に数秒から数分間めまいが起こる病気です。めまいが起こる位置(頭位)は人それぞれで違い、めまいの感覚もぐるぐる回るような回転性の激しいめまいや、ふらふらするようなめまいの場合もあり様々です。前回のメニエール病の時に平衡感覚を司る前庭という器官は三半規管と卵形嚢、球形嚢からなるとお話しましたが、この卵形嚢と球形嚢は耳石器とも言われます。字のごとく耳石器には石のような物質が存在し、それが何らかの原因で脱落して三半規管内のリンパ液中を浮遊すると、体位の変換で石が移動してリンパ液に流れが生じめまいが起こると考えられています。耳石の脱落の原因としては、頭部外傷による衝撃や他の内耳疾患の既往などの場合もありますが、半数以上は原因ははっきりしません。高齢者や女性の方が多い病気であることから、加齢やホルモンの影響なども関与していると考えられています。

 診断には問診が重要で、めまいの症状が体動時に起こる場合はまず本疾患を疑います。そして眼振という目の異常な動きが頭位の変換で確認されれば診断は容易です。聴力に異常をきたす病気ではありませんが、突発性難聴などの難聴を伴う他の耳疾患に続いて発症することもしばしばあるので難聴や耳鳴りがあるからといって本疾患を除外することはできません。診断に際しては耳鼻咽喉科医による眼振所見の正確な評価と聴力検査などの耳の検査、場合によっては中枢性の疾患を除外する目的で頭部MRIなどの検査が必要となります。

 良性発作性頭位眩暈症は良性と付くぐらいですので、発作は短い時間で治まり、吐き気なども比較的軽いものがほとんどで治りやすい病気です。自然に治ることの多い病気ですが、横になったり座ったりして耳石をもとの卵形嚢の中に戻す方法や耳石を三半規管内に拡散させる方法などにより早期に治る場合があります。めまいが続いている時は抗めまい薬や循環改善薬などを服用します。めまいを恐れずに、積極的にめまいの起こる体位をとっているうちにめまいは徐々に軽くなっていきます。しかし再発も多く、長引く場合は中枢性の病気の可能性もあり注意が必要です。本疾患を疑った場合は迷わず耳鼻咽喉科を受診してください。

 次回は前庭神経炎とその他の内耳性のめまいについてお話します。今回の写真も前回同様にクッキーです。今回は娘が撮りました。

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